セルフメディケーションと言う言葉を聞いたことがありますか?

セルフメディケーションは、軽い病気やケガなどは医者にかかることなく、自分の健康に責任を持ち自分自身で治療を行う事を言います。

例えば、風邪などの症状が出た時、熱が無く軽い場合は多くの方は病院には行かないで近くの薬局で市販の風邪薬を買って飲んだりします。これもセルフメディケーションの一つなんです。

2017年1月1日から、特定の市販薬を購入した場合の新しい税制「セルフメディケーション税制」が始まりました。それはどんな制度なんでしょうか?

TV番組『ゲンキの時間』は、そのセルフメディケーション税制に着目して、日本くすり教育研究所の薬学博士 加藤哲太ドクターに解説を依頼し、セルフメディケーション税制の条件や注意点、正しいクスリの知識など、よくわからないクスリの疑問に答えていましたのでまとめました。

市販薬と処方薬との違い

加藤先生の話によると、処方薬は医療用医薬品と呼ばれており、医師の診断に基づき治療のために使われる薬のことを言います。

市販薬に比べて有効成分が多いが、その反面副作用に注意が必要なので薬剤師から薬の指導が必要になります。

一方の市販薬は、症状の緩和が目的で使われる薬で医療用の薬よりも有効成分が少な目で作用も穏やかです。

実は、市販薬にはOTC医薬品とも呼ばれている薬があります。薬局などに行くとカウンターいる白衣を着た薬剤師さんに直接手渡しで購入しなければならない薬で、医師などの処方箋が無くても買える医薬品の事を言います。

今年から、そのOTC医薬品を購入すると、ある条件によって税金を控除するセルフメディケーション税制がはじまりました。

セルフメディケーション税制の条件や注意点

従来は、病院でかかった診療費、治療費、医薬品購入費などが、1年間で1世帯あたり10万円超えると控除対象でした。

今年からスタートした新しいセルフメディケーション税制新は、市販薬のOTC医薬品を1世帯あたり1万2千円超えたら控除対象になる制度です。税金が返ってくるチャンスがある制度なのですが、セルフメディケーション税制の対象になるにはいくつか条件があります。

特定のOTC医薬品に限ります

2017年2月22日時点で対象となるOTC医薬品は1577品。

ここが大切なチェックポイントになります。例えば、同じタイプの風邪薬でもノドに効くタイプと、鼻に効くタイプでは配合されている有効成分が違います。その為、OTC医薬品の対象となる薬と、対象外となる薬に別れる場合があります。

対象となる薬には、薬のパッケージにマークがありますのでそれを目印にしましょう。薬剤師さんに直接聞いてもみるのも良いかとおもいます。

健康診断などの健康の維持促進に努めていることが条件です

所得税や住民税を納めていて、勤務先での定期健康診断や特定健診を行っていることが条件になります。

  1. 特定健康診査
  2. 予防接種
  3. 定期健康診断(事業主健診)
  4. 健康診査
  5. がん検診

このいずれかを受けている人で、健康診断の結果通知書や領収書が必要になります。

また、控除を受ける際にはOTC医薬品の購入を証明できるレシートが必要になるので、確定申告までとっておきましょう。

税制を選択する事が必要になります

実はこの制度は、従来の病院でかかった医療費控除かセルフメディケーション税制の選択になります。どちらが得するのか計算して選択する必要があります。

【例】
病院でかかった医療費が8万5千円、セルフメディケーション税制対象商品購入費の金額が2万円だとします。トータルで10万5千円になります。
従来の医療費控除を使うと、控除対象になる金額は、10万円を超えた金額なので5千円になります。

一方、セルフメディケーション税制を活用すると、セルフメディケーション税制対象商品購入でかかった金額が2万円なので、そこからセルフメディケーション税制控除対象の金額1万2千円を引いた8千円が控除対象になります。※還付金は控除対象に一定の税率をかけた金額。

つまり、セルフメディケーション税制を活用した方が控除対象になる金額は3000円多くなります。

セルフメディケーション税制を活用した場合いくら返ってくるのかは、詳しくは日本一般用医薬品連合会のホームページで確認することができます。⇒日本一般用医薬品連合会のホームページ

薬に関する基礎知識

では、幾つか薬に関する疑問についてまとめています。

市販薬の分類

薬は病気など改善してくれますが、副作用が表れる事もあります。そのため、副作用のリスクを考慮して市販されている薬にはいくつか分類されています。

  • 要指導医薬品・・・取扱いに十分注意が必要な薬の為、インターネットでは購入できません。薬局で購入する際には薬剤師と対面し書面を用いた適正説明をうける必要があります。
  • 第1類医薬品・・・取り扱いは特に注意が必要ですが、インターネットで購入することができます。しかし要指導医薬品同様、薬剤師による書面を用いた説明をうける必要があります。
  • 第2類医薬品(指定第2類医療品を含む)・・・取扱いは注意が必要ですが、インターネットで購入することができます。薬剤師または販売登録者による情報提供の努力義務が必要。
  • 第3類医薬品・・・特に規定はありません。

この中の、要指導医薬品と第1類医薬品は薬局では販売者の手の届かない場所に置かれています。

正しい目薬のさし方

目薬をさすと言う事は良くあることですが、皆さんは目薬さした後の目はどうされていますか?
実は、目薬をさした後は、目を閉じて清潔な手で目頭を押さえて1分ほど置くのが正しい点眼方法です。パチパチと瞬きをしてしまうと、目薬が流れたり、目頭にある鼻涙管という管を通ってノドに流れてしまい、目が乾いてしまいます。

粉クスリは飲みにくいのに何のためにあるの?

粉クスリはすぐに溶けやすくなっているので少し早く効きやすい性質をもっています。

錠剤やカプセルなどは、溶けやすいクスリの上に何層にもなっています。これは、外側のクスリが胃で溶けて、内側のクスリが腸で溶けることで、成分がより長く身体にとどめることができるのです。

また、便秘薬などは腸で効果を発揮させるために、胃酸で溶けないようにコーティングがされています。

例えば、錠剤などのクスリを砕いて飲むと必要以上に効きすぎたり、逆に効果が半減してしまう事になってしまいます。薬には、理由があっていろんな工夫がされていますので、指導された通りに飲むことが重要です。

食間とはいつの事?

これは食事と食事の間の事です。朝食と昼食のあいだ、昼食と夕食の間に飲むなど、食事をしたら2時間は空けて、胃に中を空っぽにした状態の時に薬を飲んでくださいと言う事です。

その他にも

  • 食前:食事20~30分前に飲む薬で、食後の血糖値を下げるためのクスリが多い。
  • 食後:食後20~30分までに服用する薬。食事をすることで薬による胃への刺激を軽減することができます。

ちなみに、毎食後に飲む薬の場合、服用の間隔は4時間が目安。間が短いとクスリが効きすぎてしまう場合があるそうです。また、食事ができない場合はクラッカーなど1枚でも、ほんの少し食べることで胃を保護する事ができます。

薬を飲むとき水以外でもいいの?

薬の有効成分は色んな性質をもっています。
鉄剤などのクスリは、お茶で飲むと吸収しなくなってしまいます。

グレープフルーツジュースには、フラノクマリンと言う成分が含まれていて、高血圧や片頭痛、心臓病などのクスリの作用を強めてしまい危険な副作用につながる恐れがあります。

また、牛乳は、睡眠薬など脂溶性のクスリの吸収を高め、めまいなどの副作用を起こす可能性があったり、骨粗鬆症の薬の効き目を低下させてしまいます。

アルコールは言うまでのありませんが、意識レベルを低下させて最悪の場合死に至る危険性があるので薬と一緒に絶対に飲まないようにしましょう。

全てのクスリは水やぬるま湯で飲めば心配はありません。

処方薬と市販薬の組み合わせの注意点

処方薬を飲んでいる方は、市販薬の組み合わせによって効果が出ない場合があります。

例えば、市販の風邪薬の場合

  • 市販薬の風邪薬と血圧の薬は血圧が下がらない。
  • 市販薬の風邪薬と糖尿病の薬の組み合わせは血糖値が下がり過ぎる場合があります。
  • 市販薬の風邪薬と抗血栓薬の組み合わせは出血が止まりにくくなります。

このような事がおこらないように、処方薬など薬を飲んでいる方は、薬局で購入する際には、必ず飲んでいる薬がどんな薬なのか薬剤師さんに伝えましょう。